いふいふほぼほぼもしもし

低燃費オタクの脳内です

ゴールドボーイ感想文〜何も知らずに映画見て!〜

TLでチラチラと「ゴールドボーイが面白い!」って見かけたのでササッと行きました。

 

まずはじめに。

 

 

観終わった瞬間に日本アカデミー賞受賞する景色が見えた………

 

何も言いたくない。観てない人たちにはもうなんも知らずに観て!って、とりあえず勧める。

サスペンス好きなら!観て!ととにかく勧める。あとは作品がなんとかしてくれるし、作品を観た人と語りたい!そう思える作品でした…

まだ見てない人はぜひ

 

・まず何も知らずに見て!

・パンフレットは袋からも取り出さずに、鑑賞後に読んで!

 

上記を守ってお楽しみいただきたいです。

時間を忘れて、没入してほしい。

 

なんか長年映画を撮り続けてきた底力を感じる近年。たまらんね〜〜〜たまらないよね〜〜興行love、love興行!

 

以下はネタバレしまくりの個人的見解感想文です。

ただ、その前に叫ばせてください。

アーーーーーーーーーーーーーーーーーッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなくリスト

  1. まず話したい!「車中のシーン」への個人的見解
  2. 黄金時代はあくまで過ぎし日々である
  3. 朝陽は夏月に「やさしい」のか

 

1・まず話したい!「車中のシーン」への個人的見解

 この映画の中で起承転結のきっかけ・・・ポイントがあると思うのですが、

鑑賞後真っ先に感じたことは「車で東がこどもたちを殺したのはどういう意図だったの?!」

・・・という点。

映画を鑑賞するとき、「映画は全てのシーンに意味がある」という言葉を頭に鑑賞してしまい

足りない頭が激痛をもたらしてしまうのが私の常なのですが、

あんなにも象徴的なシーンをあそこに入れ込んだのは

・子どもたちも、観客も感じていた「隙を見せたら東に殺される」という緊迫感を増幅させるため

(その後も常に殺されるかもしれない、という緊迫感を与え続ける)

 

…という作用が強いのかな、と1日たって考えました。

あのシーンがなければ、東よりも最悪な朝陽という存在が際立ってしまうため、

あえて早々に「殺そうとしているのは東。丸腰ながらちょっと賢そうな中学生を応援する」という視点に誘導することで、ラストに向けての朝陽の衝撃を増幅させたのかな、と…

 

とはいえ、朝陽は当初から「人殺し!」って言われるのは不穏だし。

元父の現妻が0距離で詰めてきててもやけに冷静だし。。。

それでも朝陽の周囲の環境を「異常」にすることで、まるで朝陽が「巻き込まれている被害者」だと錯覚するし、あくまでなんでもない「普通の子」なんだと感じさせてくる。

 

パンフレットからも読み取れるように、監督は「普通の子っぽい人」をえらんだという。

正直私は羽村くんの顔を知らなかったので、最初の教室のシーンで素朴にノートをとる姿に、「え、この子??ほんとに?岡田将生に秒で殺されるんじゃない?」と感じていた。

今思うと、殺した同級生の花が生けられている教室で相変わらず授業に出席しているのはサイコがパスしすぎ。私はすでに術中にハマっていたわけだ・・・

その点、岡田将生が演じる東は最初からなんか怪しい。アクサダイレクトの時はあんなにも信頼できる青年だったのに・・・妹を大切にするいいお兄ちゃんだったのに・・・

登場開始1秒で悪そう。絶対何か企んでいる。

もちろん、先に空気作りができる岡田将生の力量もあるし、先に出すことで思考を誘導させているのだろうけど。。

 

そんなにも「人を殺した人間」だからやばそうな東への緊迫を増幅させつつも、

実際は朝陽がここから詰めに詰めまくるガン詰め将棋のゴングを鳴らす血飛沫シーンであったのではないでしょうか。

それにしても、この表情…は、羽村くん…もう見る前は岡田将生しか見てなかったよ…

youtu.be

 

…めちゃくちゃ怖い!(ベタ褒め)

血飛沫でゴングを鳴らして、血飛沫で勝ちのゴングを鳴らすのも恐ろしかった〜

 

2・黄金時代はあくまで過ぎし日々である

東の部屋で広中杯のトロフィーを見る朝陽。

私は個人的にこのシーンが一番好きです。

なぜなら、朝陽がめちゃくちゃ性格悪いと一発でわかる明瞭なシーンだからです!

一目で「銀じゃんw」って思ってそうですよね。

東の「知ってるの?」なんて問いかけ、もはや2回目見るときは恥ずかしくて泣いちゃうかもしれない。「優勝した」の一言で東のプライドズタズタにできるの知ってて言ってる朝陽。。

朝陽が只者ではないと確信を持てるシーンであると同時に、東による「俺の黄金時代」の発言でまるで東の黄金時代は「過去」で、朝陽にとってはまさに現状、そしてこれからがさらに「黄金時代」になるものだと思わせてくるわけですが・・・

ラストを経て思うのは、両者にとってすでに「黄金時代」と呼べるのは過ぎし日々だということ。

人を殺した時点で二人とも光り輝く男ではない。

「少年」が「黄金」であっただけで、もはや黄金を持ち光が当たらない限りは輝かない人間。

実際、一般的には「少年」である朝陽だけれども、「14歳」になり、法で裁かれるという点からは成人に全くの「子ども」ではない。

Money(金)を掴もうとも掴めず、自身の黄金(Gold)に縋る二人はいずれにせよ結末が似ていたのではないかと思う。

朝陽も殺されてはないけれど、警察に捕まったのちは社会的に生きていくのだろうか…

いや〜〜〜〜〜〜〜〜凶悪すぎるよ情状酌量の余地なしだよ〜〜〜〜〜

 

3・朝陽は夏月に「やさしい」のか

東を刺した後、夏月の瞳を閉じてキスするシーン。

「やっぱり愛する人を想う気持ち、あったんだね…😢」

 

…って思えました?

私はぜんぜん思えませんでした!!!!!!!!!

 

よく身内の殺人の時に被害者のまぶたは閉じられている、と言いますが

まぶたを閉じるくらいの関係(知り合い)と感じていたのが夏月だけであって、

キスは「俺の都合のいい女だったからせめてキスでもしておくか〜」としか思えなかった。

だって、本当に好きだったらなんとかして夏月にも飲ませないとか・如何様にもできたはず。トイレに避難させるとか、何手も先を読んでいたに違いない。

でも、朝陽はそんなことしなかった。自分だけ助かる道を選んだ。

 

事件の後、夏月からの手紙を玄関先で読む母(このシーンの時にはもう朝陽が殺しに来ちゃうよ〜〜!と内心ハラハラでしたよね)。

真っ先に手紙を取り上げて、燃やし、包丁を手に取り、母親に迫る。

「せめて贅沢させてから殺して」と懇願することで【自分より格下である】が故に「仕方ないな」と本人なりの「やさしさ」でその場では殺さない。

むしろ、「じゃあどこが幸せで、いつ殺すのがベストなのか」と冷酷に考えているだけなのに。。

 

以前、「ケーキの切れない非行少年」という本を読んだ際に、「自分は優しい人間だと思う」と述べる少年たちがいると書かれていたのですが、今思うとまさに朝陽は自分のことを優しくて、いい子だと思っている。

朝陽の母の愛ややさしさも歪みを感じる(絶対にやり返す的な発言とか、元父は昔の青春に囚われてるとか…あっこれは朝陽と東のことの匂わせだな)けど、やさしさは持ち合わせてないよね、朝陽は…。

 

ふと思い出したのですが、上間家の人々が「人の命をなんとも思わない」と言ってたけれど浩は朝陽を信頼しているのに、上間夫婦の中で何があったのだろう・・・

たぶん、朝陽から逃げるように引っ越しをしたのに浩が・・・ひ、浩ぃ…

いいジャーナリストになってたら衝撃的だったろうに…東グループに食わせてもらってたのかもね浩ぃ…

つまりは、朝陽は保身で他人は排除する「やさしい」とはかけ離れた人物!

気をつけよう!優しい声かけ!

大切にしよう!人間!

 

 

と、ここまで3000字近くの感想を書き述べたくなるくらいには面白かった「ゴールド・ボーイ」

本当に、ここ数年で一番衝撃的だったかもしれない。

落下の解剖学は言葉の力・・・脚本!って感じだったけど、

ゴールド・ボーイは脚色の力!って感じ。

 

あ〜面白かった〜〜〜〜〜〜〜!怖かった〜!

 

追記:

・パンフレットの日記について

朝陽、女の子を殺した後にあの日記書き始めてそうだな!ていうかいつか殺すために書いてるんじゃないのかな、と思えるくらい別人が描かれている。まさに「浩と夏月をモデルにした小説を読んでいるみたい」。

女の子を殺した日の誤字とか消しゴムで消してそうな感じとか。何から何までこわい。

すべて偽装に思える…

 

・特典の新聞について

結局はみんなお金のことや泥沼関係にばかりに関心があって、テレビはいつも通り報道されていく、っていう無情さを感じた。

 

劇中で終始、基地や基地から飛び立つ飛行機や音が出てくる。

沖縄を知らない自分に、何かを突き刺してくるものがあった。