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低燃費オタクの脳内です

SHOWBOY再再演にしてやっとこさ感想文

奇跡かつ必然の再再演!

初演の頃は「あー、夏予定ないな。あっ、ふぉ〜ゆ〜の舞台やってるじゃん。ちょっくら行くか〜!」のテンションで観劇したらとんでもなく面白くて度肝抜かれてその年のふゆパラ行っちゃったよね!って私の人生の礎築いてくれた、それがSHOWBOY。

勇気とか元気とか、ハリウッドのハッピーラブドリームスマイル!みたいなあの元気を貰える作品が大好きなら・王道ミュージカルが大好きなら誰でも好きになっちゃうよね〜というこのSHOWBOYがまだ日本の一部でしか広まってない2023年夏…ふと思い立ちブログを書くに至りました。

大したことは書きませんが今の自分の解釈を備忘録として残します。

 

ミュージカル史…という本を読んで知ったのですがブロードウェイなどで「ショー」が始まった際、最初は音楽だけ、にラインダンスとかジャズダンスとかがくっついてレビューになって、いつしか歌がついてミュージカルになって、、という成り立ちからSHOWBOYの名前や作品のインスパイアにもあるSHOWBOATを始めとした作品のように古典的かつ王道のミュージカルスタイルのためにあの華やかなオープニングが存在しているんだと漸く腑に落ちて。

もちろんこれは私がいかに知識なく観ていたか…ということなのですが映画にも「すべてのシーンに意味がある」とされるように舞台やミュージカルにも全ての意味を考えていたので「これはこのシーンが繋がって…?」とかそんなことばかり考えてしまっていて。でもそんなこと考えなくていい、とにかくハッピー!華やか!これがショー!エンターテイメントだ!っていうメッセージだけ真っ直ぐに届けたいものなんだ!って歴史を紐解くことで納得できました。ありがとう文献。

 

とはいえ、はじめの「豪華客船に乗り込んだすべての人間が主役なんだ」とも思える【全員でショーに出演する】というスタイルは「キットカットクラブでのショーがいい」とされ、力を入れてきたのであろうあの豪華客船にとって自然な流れだと思いました。

あの全員総出演ショーに至るまでに中心人物である脇役を歩んできた4人の男達がたくさんの人を巻き込んで、誰だって自分の人生の主役は「自分」であることを思い起こさせて、年齢や性別関係なく全ての人にチャンスは与えられ、舞台に立つのか、立たないのかを選択できる。そして、光立つ場所に立つことができる。そんな意味が込められているような気がして、だからこそあんなにも励まされて元気になるのかな、なんて思いました。

特に、きっとあのバラバラの4人がなんやかんやで(そのなんやかんやがとてつもなく面白いけど割愛したくもなる複雑さで)集まり、とにかく面白いショーをしているんだと噂になるところ、まさに「ふぉ〜ゆ〜」って感じで。

誰に集められたわけでもないけどショーを成立させるために心が一つにぎゅっと集まるあの雰囲気。関ジャニ∞の曲で「ひとつのうた」っていう曲があるのですが、「惹かれたのはここにある熱いものが似ているから きっとそうだろう」って歌詞があって。まさにそんな感じ。

偉い人があれを観て、「これ、これだよ!これをこの客船の売りにしよう!」ってことになったんだろうな。と。

なんなら私個人的には帝国劇場に豪華客船の広告が飾られてるじゃないですか。あそこに繋がってる!って思ってます。ミュージカルが大好きだけどなんだか元気がない一般市民がなんやかんやで豪華客船に乗り込んだらものすごく面白いショーに出会っちゃった、みたいな。

遅すぎることなんてない、人生に無駄なんてない。悩んで、立ち止まって、ダラダラ続けて、どうしようもないことばかりで。それでもヤルシカナイネ!と立ち上がる時に人間の底知れぬ力強さでビッカビカに輝ける。。そんなメッセージをバシバシ受け取って、一歩踏み出しちゃう。

 

話は飛びますが、SHOWBOYを観てからウォーリー木下さんの演出作品をもっと知りたいと常日頃からTwitterで作品情報を収集しているのですが、パラリンピックの演出やストレンジシード静岡など「誰でも・どこでも・いつでも 演劇を(観る・演るで)楽しめる」という取り組みを行っていることを踏まえ、さらに劇場に入った瞬間から作品の世界観に没入できる作品作りから、SHOWBOYにも漏れなく同じエッセンスを感じられて。(だから客船で演劇が楽しめるっていうのもまさに「どこでも」につながると思っています)

観客はシアタークリエをはじめとした「なんだか豪華客船っぽい」劇場に「どうやら面白いらしい」とか、「1度観て以来このショーを心待ちにしていた」人間として訪れ、待ってましたとばかりにショーは始まり、大人気演目となったこの作品のプロローグ…突貫工事ではじまった初演の話を「と、その前に♪」と遡り、観客も演者も初心に回帰することができる。忘れていたあの頃の自分が今の自分に重なったり、見守るような立場で見つめたり。そして、拍手喝采で初演を見届けると現在に引き戻され、完璧に仕上がった素晴らしいショーで幕を下ろす。

 

この作品はきっと、評価されればされるほど、長く続けば続くほど、話の奥行きが増していく、まさに再演するほど深く化ける、深化するのだろうと今から未来へのワクワクが止まりません。

 

最後になりましたが、このSHOWBOY、元気が最大限にない時こそ観てほしいです。

もう頑張れないよ、もうここが最低だよ、って気持ちを持っているほど、登場人物も最初はどん底だったりそこそこ底だったりズーン…スタートなので。死のうとする人間だっているし。でも、誰に何を言われてもこの1回だけ頑張ってみよう、って立ち上がる。その立ち上がる足腰の強さがあったんだ!って自分の人間としての自己肯定感が1mmだけでもフワッと持ち上がる素敵な作品なんです。

「そんなの嘘で落ち込んでたんだ、って思われそう」とか「本当に辛かったら笑うことなんてできない」って思ってる人も、とんでもなく辛い気持ちの人間が無理して笑ってるってきっと表情観て感じられるので。人間ってめちゃくちゃキツい時こそ笑っちゃったりするじゃないですか、それです。

でもどれだけゴリ押ししてもふとした時にきっと出会ってしまう、それがSHOWBOYだと私は思います。まだ観てない人、羨ましい!